◇副住職の法話ノート(2)◇『スマホを置いてお念仏』

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2020.10.26
◇副住職の法話ノート(2)◇『スマホを置いてお念仏』

 

気が付けば2020年も残り1か月ほどになりました。時の流れというものは、普段は全然気にしていなくても、ふとした時に気づかされます。私は今年27歳となり、まだ周りから若者として見てもらえる年齢かもしれませんが、たった27年間でも身の回りの様々なものが変化しました。

例えば携帯電話。私が小学生の頃の携帯電話といえば相手と通話やメールができるくらいのものでした。それが今ではスマートフォンの普及によって、むしろスマートフォンでできないことはなんだろう?と考えてしまうぐらいたくさんの機能を持つようになりました。もちろん、こういった発展のおかげで私たちの暮らしを便利にしていることは否定できませんし、明日からスマートフォンがなくなるとなれば、私も動揺してしまうでしょう。しかし、その便利さが結果的に私たちを苦しめている面もあるのではないでしょうか。

多くの人が仕事や家事に追われて、慌ただしい毎日を送っています。私も普段は浄土宗宗務庁というところで、全国にある浄土宗のお寺を管理・サポートする役所のような仕事をしています。まず朝起きて家を出たら電車に乗り、職場に着いたら仕事をして、終われば家に帰って次の日の仕事に備えて早めに寝て、また次の日…というような毎日です。それに加えて、例にあげたスマートフォンのように、人間が便利さを求めすぎた結果、ますます慌ただしさを加速させているように感じている人は多いはずです。

“慌ただしい日常に少し疲れてきた”とか“一度自分の人生を見つめなおしたい”と思う方にお勧めしたいのがお念仏です。お念仏は『ナムアミダブツ』とお称えすることによって自分自身と向き合い、阿弥陀さまという仏様の救いの力を受けることが出来るからです。自分ができる範囲でたくさんお念仏を称えし、阿弥陀さまが私たちを良い方向へ導いてくれると信じ、心穏やかになることができるでしょう。

お念仏をたくさん称えられる行事として「十夜法要(じゅうやほうよう)」という行事があります。一般的にはお十夜と言われ、秋の季節の10~11月に1日から数日にかけて全国各地の浄土宗のお寺で行われています。お十夜の歴史はとても古く、その由来は浄土宗で大切にしている『無量寿経』というお経の一部分、「煩悩や苦しみの多いこの世界で、十日十夜の間、善(よ)い行いをすることは、仏の世界で千年にわたって修行する功徳に勝る」という教えを実践したものです。簡単に言うと、迷いや苦しみがとにかく多いこの世の中で特別に時間を取ってお念仏を称えることは、きわめて尊い行いであるという意味です。

今年の十夜法要は11月15日(日)午前10時30分より開催します。感染症対策として恒例の数珠繰りは行わず、ご回向のみとし、またコロナウイルスの終息を願って別時念仏礼拝行も行いますので、どうぞお参りください。

普段慌ただしい生活を過ごしているからこそ、非日常感のあるお寺で心を穏やかにして、“仏の世界で千年にわたって修行する功徳に勝る”お念仏を称えてみませんか?

 

光運寺中庭 弥陀三尊石